Tijuana’s  Report 

モンテレイ大学
インテリアデザイン学科教授

東 俊一郎

 

今回、メキシコとアメリカの最北端の国境であるティファナに始めて訪れた。

日本ではあまり馴染みのない国境線。同地で事業展開をするKB FOAM社(CASA FUTURO Lab.)のご厚意で、国境線のある生活の一端を見ることができた。

 

 混沌とした海岸線 Popotla

まずは海沿いの幹線道路をTijuana中心部から1時間ほど南下し、Popotlaという小さい漁港に案内してもらった。

 浜辺には、車や船、魚売り場、レストランがひしめきあい、買い物客だけでなくカモメやペリカン、さらには飼い豚までも集まり、独特な雰囲気に満ちている。

南国島育ちの私は岸壁のない船着場に懐かしさを覚えたが、Popotlaは全く別のもので、異文化の入り交じるメキシコならではの混沌した活気に溢れていた。

ここでは、海から戻った漁船が直に浜辺に乗り上げて、そのまま売り台として並んでいる。ひとつの移動する空間である漁船が、漁に出る船、魚を捌く台所、販売する屋台の役割を担っている。

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 国境の街Tijuana

その後、メキシコとアメリカを区切る国境の海岸を訪れた。緩やかな曲線を描く海岸線と丘陵を、一本の柵が綺麗に区切る。柵越しには、稜線が遥か向こうまで続いていくのが見える。

Tijuanaでは国境沿いぎりぎりまで人やバラック小屋が押し寄せていて、あたかも国境線がそれらをせき止めているかのようだ。

アメリカでの収入はメキシコに比べ10倍も高いそうで、メキシコからアメリカへ日々国境をまたいで生きる人々が多くいる。

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動く建築の意義

 今回、KB FOAM(CASA FUTURO Lab.)と千葉大学が取り組む、低所得者向けトレーラーハウスプロジェクトを視察させてもらった。

Tijuanaに来る前は、住居を動かす意義についてあまり実感が沸かなかったのだが、実際訪れてみると、移動を前提とした暮らしが根付いていることを肌で感じた。

時勢に合わせて仕事の多い場所に動き、そこで暮らす人たちが既にいるのだ。

トレーラーハウスは様々な役割を持つPopotlaの船のような存在になり得ると感じられた。

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境界線を超えて

 PopotlaでもTijuanaでも、混沌とした活気の中に、植物が発芽する前のエネルギーのようなものを感じた。

国境なり、海岸なりでせき止められた人々の活気の発露が今後どのような形で現れていくのだろうか。

 KB FOAM(CASA FUTURO Lab.)では、新たな取り組みとして日本人学生のインターン受入れを始めている。

彼らが、ここでしか味わえない雰囲気の中で様々なものを学び、どう社会に還元をしていくのかを見守っていきたい。

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